竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
しかし気になるのは、さっきから無反応な、お腹の卵くんだ。
(卵くん、やっぱりずっと、寝てるのかな?)
食事も終え、案内された客室でようやく一人になると、すぐにお腹に向かって話しかけた。トントンとお腹を叩くと、やっぱりずっと寝ていたようで眠そうな声が聞こえてくる。しかも今日はいつもより眠いらしく、ぜんぜん話が続かない。
最後には『ママ〜、きょうは、ぼく、もうねるぅ……』と言って、また部屋には静寂が戻った。そして代わりに部屋に響いたのは、扉をノックする音だ。
「リコ、俺だ。今、大丈夫か?」
「竜王様?」
さっき食事を終えたところで、まだ寝る時間ではない。私も荷物を整理しておこうと、ちょうど立ち上がったところだった。
(もしかしてアレ、持ってきてくれたのかな?)
竜王様の訪問に思い当たることがあり、私は急いで扉を開けた。
「竜王様、どうしたん……ですか?」
想像していた竜王様と違い、私は一瞬言葉を失う。そこにいたのは、竜王様(人バージョン)ではなく、竜王様(幼竜バージョン)だった。