竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「目の下のクマがすごい!」


 あれから何度も夜中に起きてしまい、結局寝不足だ。そんな顔色の悪さを鏡で確かめていると、少しあせったようなノック音が部屋に響いた。


「リディアです。入室してもよろしいでしょうか?」
「えっ? はい! どうぞ!」


 部屋に入ってきたリディアさんは、急ぎ足で私のほうに歩いていくる。なんだか様子がおかしい。リディアさんの目が、いつになく真剣で、手が震えている。


「竜王様がお呼びです。リコにお妃様選定の儀に、来てほしいと言っています」
「えっ? もう始まってるのですか?」


 ようやく朝日が見えてきたという時間なのに、神聖な儀式だからか、かなり早かったようだ。


「わかりました。行きます!」


 結局卵くんの声はあれから聞こえないけど、私は行ってきますの挨拶をするように、ポンとお腹を叩いた。
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