竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(あれ? 私、侍女服着てる)
唯一わかったのは、私の服がドレスから侍女服に変わったことだ。きっと私を王宮から連れ去るために、目立たないよう着替えさせたんだろうな。それに思い出したわ!
(あの侍女、ぜったいにライラよ! もう呼び捨てなんだからね! だって兄さんって最後言ってたし、絶対にあれはギークだ!)
それにしてもあの二人、どこに行ったんだろう? そもそもどうやって王宮に入れたの?
しばらく二人の行動を考えていると、遠くから竜の鳴く声と、男の人の怒鳴り声が聞こえてきた。
「クソ! さっきまで大人しかったのに。さっさとこっちに来い!」
『嫌だ! おまえなんて大嫌いだ! リコ様を連れ去ったのは、おまえだろう!』
「ねえ、その竜じゃないとダメなの? 全然兄さんの言うこと聞かないじゃない」
「俺だって知らねえよ! あの方がこの竜にしろって言ったんだ。それにこいつは裏切り者だ。俺の竜だったのに、あの女の専属竜になりやがって!」
(ヒューゴくん! この声ヒューゴくんだ!)
ライラとギークの言い争いのなかに、ヒューゴくんの声が混じっている。理由はわからないけど、ヒューゴくんもあの二人に連れ去られたみたいだ。