竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
そのままぎゅっと口枷を締め上げると、ヒューゴくんの喉がゴクンと上下に動いた。
「ふふ。専属竜に噛み殺される。いい気味だわ」
「なんで、私を……?」
この人は運命の花嫁に選ばれた。竜王の卵を宿し、幸せになれるのだ。それなのになぜ、私をまだ殺そうとするの?
するとアビゲイル様はキョトンとした顔で私を見つめ、当然のことのように話し始めた。
「だって、本当はあなたが、運命の花嫁なんでしょう?」
「え……?」
(な、なに? なにを言っているの?)
「でもさっき、選定の儀で……」
「水晶の守り人はうちの親族よ? 私の竜気だけに反応する水晶玉を作ってしまえば、何も難しいことはないわ」
緊迫した場に、グルルルという低い唸り声が聞こえ始める。首を振り、口からよだれを垂らしながら、一歩一歩、私のほうにヒューゴくんが近づいてきていた。