竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(これはシリルさんか、リディアさんだ!)
「ちょっと待ってください。ほら! 誰かこっちに向かって叫んでる声が聞こえます! きっとシリルさんたちですよ!」
しかし竜王様は怪訝そうな顔をして、私を見ている。まるで私がごまかすために嘘を言っているみたいだけど、本当に聞こえるんだってば!
私はキョロキョロと声のする方を探し、そして、とんでもないものを見つけてしまった。
「きゃあ! 竜王様! ものすごい数の鳥が、こっちに飛んできてますよ!」
「ん? どれだ?」
私が指差す方向には、五十、いや、百羽はいそうな鳥の群れが飛んでいた。しかしそれを見て、目のいい竜王様はぽつりと呟いた。
「あれは鳥じゃないぞ。竜だ!」
「ええ? あれ全部?」
その竜の群れは、どんどん私たちのほうに向かってくる。そしてようやく私の目にも竜だとわかった頃、先頭で飛ぶ竜の声に聞き覚えがあることに気づいた。