竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
あれから数ヶ月が経ち、ようやく王宮も落ち着いてきた。その間、事件に関わったリプソン侯爵親子。また水晶の守り人、そしてロイド兄妹への罰が決まり、執行された。
水晶の守り人はリプソン侯爵に脅されてはいたが、王族に報告の義務を怠ったこと、偽の水晶を受け取り儀式を行ったことで職を失い、罰金と貴族籍を失った。
ロイド兄妹は、実質の罪は私の誘拐と竜への危害だ。騙されて知らずに手伝わされていたこともあり、領地での禁固刑十年となった。またギークは騎士には永久になれない。騎士に誇りをもっていた彼は、これを聞くと涙を流して後悔していた。
ライラは魂が抜けたように、ただぼうぜんとしていたが、自ら禁固刑の代わりに修道院で一生を過ごすことを選び去っていった。
「まさか、あのギークとライラが真剣に、頭を下げるとは思わなかったです」
リディアさんにそう言うと、彼女も「そうとうショックだったのでしょうね」と感慨深げにうなずいた。別に泣いて謝り刑を軽くしてくれと頼むわけでもなく、ただ深々と頭を下げ、二人は王宮から出て行った。
二人が出て行ったあとに竜王様が「真面目にしていたら恩赦を与えることもできる」と言ったのが印象的だった。