竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「反対にリプソン親子は、どこまでも傲慢でしたね……」
リディアさんは、あの親子の処罰を言い渡した場面を思い出しているようだ。呆れたような顔で、窓の外を見ている。
リプソン侯爵家の爵位剥奪はもちろん、彼らは竜人でいられなくなった。この国で二番目に重い罰である、体内から竜気をすべて枯らす薬を使った刑が、言い渡されたからだ。
二人は竜王様からその刑を知らされると、ワナワナと体を震わせ叫び始めた。
「なぜ我々が、そんな重い罰を受けなくてはいけないのです! こんな平民の女のために!」
「竜人でなくなるだなんて、いっそ死罪のほうがましですわ!」
竜王様はそれでも冷静に、二人に現実を伝える。周りにいる竜人たちも、皆一様にリプソン親子を冷ややかな目で見ていた。
「だからだ。権力欲にまみれたおまえらだからこそ、平民以下の暮らしになるのが一番の罰になるだろう」
二人にとっては権力こそがすべて。国中の人が大切にしている竜すらも、大事なものではなくなっていた。そんな彼らには私が一番の敵に見えるのだろう。キッと睨みつけ「絶対に許さないわ……」と呟いている。