竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「ルシアンさん!」
「なんでしょう?」
「ひとつだけ、質問があるのですが」
「なんなりと」
ルシアンさんがこちらに向かってくるコツコツという音で、少しだけ緊張してしまう。だってその答えによっては、私がここにいる意味が変わってくるからだ。それでも高鳴る心臓を落ち着かせながら、勇気を出して問いかけた。
「運命の花嫁がどんな理由で選ばれるのか、知っていますか?」
ルシアンさんは私のその突然の問いかけにも、眉一つ動かさない。まるで私がそう言うのを、待っていたかのようにほほ笑んでいる。
「ええ、一番古い書物に、こう書かれています」
「竜王を助け、導く者を選ぶと」
(私がリュディカを助け導くために、この国に呼ばれた……?)
その神託のような言葉を受け取るように、私はゴクリと喉を鳴らした。