竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「う〜ん……しかし、それはしょうがない。リコは卵を身籠っているのだからな」
「それはそうだけど〜!」
そう、なんと私は赤ちゃんじゃなくて、本当に卵を身籠っている。これは竜気が強い竜王の子だけで、他の竜人は普通に人間の赤ちゃんを産んでいるらしい。
「あと少しだ。俺も早く会いたい」
「うん。私も。あっ! 名前の候補、リュディカは考えた? 私は一つだけ決めたの」
「なんて名だ?」
こんなに情緒不安定な私でも、リュディカはいつも優しく、そしてとろけるように甘く接してくれる。時々「きっとこうしてリコが俺だけを見てくれるのは、妊娠中までだからな」とからかってくるけど、本当にそうなりそうな予感でいっぱいだ。
「そういう意味があるのか。なら俺もその名前がいいと思う。俺が考えていた名前も、意味が同じだからちょうどいい」
「本当? それならこれで決まりね」
(卵くん。二人で名前を決めたよ。だから早く出ておいで)
「リコ」
「ん?」
リュディカの宝石のような瞳に見つめられ、私たちは自然と唇を重ね合わせる。きっとこんな静かで甘い日々はあと少しだけ。私たち夫婦は、幸せな毎日を確認しあうように、何度もキスをした。