竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
『あっ! パパもいる! かっこいい!』
その言葉を通訳しようと、リュディカのほうを見上げる。しかし彼は今まで見たことないような呆けた顔で、自分の息子を見ていた。
「リュディカ? 大丈夫?」
「……リコ、これは俺の幻聴じゃないよな?」
「え? リュディカ、どうしたの?」
「俺の息子が話してるのが聞こえるんだが」
「えっ! じゃあ今、パパかっこいいって言ったのもわかったの?」
「ああ! やっぱりしゃべってるんだな!」
以前聞いた時には、赤ちゃんの竜は話すのに時間がかかると言っていた。そのうえ竜気の多い子だと時間がかなりかかると聞いていたから、覚悟をしていたのに。するとリディアさんたちも、信じられないという表情でこっちを振り返った。
「わ、私にも聞こえましたが」
「私にもです」
『このこえは、シリル! それとリディア〜』
「まあ! わたくしの名前をご存じで?」
「どうして話せるのでしょう? それに卵の時の記憶もあるようです。あっ! メモを取らなくては!」
その場は一気に騒がしくなり、竜王様たちはどういうことだと考えている。