竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

「リコ様の血が混ざったからじゃないでしょうか?」
「なるほど、ありえるな」
「それなら、これから竜王となる者は、幼竜の頃から言語能力が発達しているかもしれませんね。むむ。もしかしたら竜と話せる能力も受け継いでいる可能性もありますよ! これは凄い!」


 シリルさんは「メモが足りない!」と出て行ってしまった。その間も私のかわいい赤ちゃん竜は、なんとか飛べないかとパタパタと翼を動かしている。


「そうだ! あなたの名前、パパと決めたのよ」
『なに、なに〜?』


 私とリュディカはピッタリとくっつき、お互いの顔を見てほほ笑んだ。


「あのね、『トレジャー』ていう名前にしたの。意味は『宝物』。あなたは私とパパの宝物だから、そう決めたの。どう?」


 最初は日本語で考えてたけど、このファンタジーな世界ではどうもしっくりこなかった。それで英語にしたのだけど、気に入ってもらえるといいな。するとトレジャーはバタバタと翼を動かし、大喜びしている。


『ママ! パパ! ぼく、うれしい!』

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