竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
あまりにもトレジャーが翼をバタつかせるので、リュディカが指でそっと止めた。
「コラコラ、まだおまえは飛べないんだから、あまり動かすと翼を痛めるぞ」
『は〜い』
素直に返事したわりには、すきをみては翼をパタパタと動かして、またリュディカに怒られている。お腹にいた時も早く飛びたいと言っていたから、そうとう飛びたいらしい。しかしすぐに体力が尽き、ウトウトとし始めた。
『ふわあ……ねむいよぉ』
トレジャーは大あくびをしたあと、コテンとクッションに横になって、もう寝息を立てている。
「これから忙しくなりそうだな」
「本当に。それに保育園も頑張らなくちゃ!」
「フッ、王宮がにぎやかになりそうだ」
私たちはトレジャーの頬をつんつんとさわりながら、笑い合う。
「あんまりにも竜たちばかり見ていると、仕事をサボってでも会いに行くからな」
「シリルさんに怒られるよ?」
「怒らせておけばいい」
「もう……」
しかし、そのリュディカの予言のような言葉は、あっという間にそのとおりになるのだった。