竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
すると私の質問を聞いた竜王は、ピクリと眉を動かした。小さくため息をつき、言いにくそうな顔をしている。
「……残された文献によると、その迷い人はこの国を最後の地としたようだ。墓も彼の功績を考慮し、王墓の敷地内に作ってある」
私と同じ迷い人はこの世界に残って天寿を全うした。その答えに思わず背中に寒気がして、何も言えなくなってしまう。それでも私が前に進むには、確認しないと。私は最後通告を聞かされるような気持ちで、また竜王に向き合った。
「……彼は、元の世界に帰れなかったのですか?」
竜王が悪いわけじゃないのに、まるで責めるような口調になってしまった。私は小さく「すみません」とつぶやくと、耐えられなくなってそっと下を向いた。竜王も私がしょんぼりしたからか、黙ってしまい場がしんと静まり返る。すると竜王の代わりに、隣にいたシリルさんが「私からも説明させてください」と取り持ってくれた。