竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 リディアさんに話したように、一般人として働く道を模索しよう! 何ができるかわからないけど、雑用くらいは今の私でもできるだろう。なるべく存在を隠して地味に生きる! そう決意して顔を上げると、竜王が真剣な眼差しで私を見つめていた。


「元いた世界に帰りたいのか?」
「え? そ、それは……その……」


 突然の質問に、思わず口籠ってしまった。竜王やシリルさん達に遠慮しているわけじゃない。ただ私の性格的に「帰れないなら考えたって意味がない。じゃあ気持ちを切り替えよう」となっていたからだ。もともとの性格ではないけれど、私の育った環境がそうさせていた。


「帰りたいに決まってるじゃないですか」


 私が質問に答えられずに黙っていると、シリルさんがあきれ顔で竜王を見ていた。

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