竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

「リコに能力がないかは、まだわからないだろう? 早急に決めつける必要はないし、迷い人だった場合は大切にしないといけない。……それともリコは王宮が気に入らないのか? リディアが粗相でもしたか?」


 いきなり話がリディアさんの仕事ぶりに飛び火して、私は驚いて立ち上がった。リディアさんはこの国で初めて私に優しくしてくれた女性だ。誤解されて罰でも与えられたら困る!


「ち、違います! 王宮は素晴らしいですし、リディアさんは完璧です! そうではなくてですね、その、王宮でお世話になっていると、命が危な、えっと良く思われないといいますか……」
「危ない? 何を言ってる。王宮ほど安全な場所はないぞ」
「うう……それは、そうなのですが……えっと……」


(駄目だ。通じない。でも昨日この国に突然現れた私が、あなたの国民に殺されそうですなんて言えないよ! 俺の国民はそんなことをしない! と機嫌を損ねかねない……)

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