竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
私が働きたい理由を正直に話すこともできずオロオロしていると、シリルさんが「なるほど」とつぶやき、竜王の肩をポンと叩いた。
「竜王様、あなたのせいですよ。昨日リコさんに治療としてキスをしたでしょう? あれで何人のご令嬢がショックで倒れたとお思いですか? あれでリコさんはかなり敵を作りましたからね。これ以上竜王様に贔屓されていると思われたら、命がないと考えるのは当然のことです」
う、嬉しい! 私が言いにくいと思っていたことを、シリルさんが全部説明してくれた! 私を迷い子だという根拠を詳しく説明してくれたのもシリルさんだし、なんて頼もしいの!
私が尊敬の眼差しで見つめているのがわかったのだろう。シリルさんは苦笑しながら、私にこれからのことを提案してくれた。
「それなら、騎士団の食事のお手伝いをするのはどうでしょうか? あそこはいつも人手が足りませんし、王宮の敷地内ですから一般の人は入れません。それに以前も似たようなお仕事をされていたのでしょう?」
そう言うと最後にニコリと笑い「リコさんならできると思います」と付け加えた。