竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「そういえば、リコは何かこっちの世界のことで質問はありますか? もちろんわからない時はその都度聞いて大丈夫ですが」
「そうですね……あっ! みなさんの種族は、竜なのですか? 空を飛んだり、炎を出せるのでしょうか?」
「竜王」というくらいだから、竜に関する種族だと思うのだけど。それとも竜を使役している人間ってことだろうか? 私が疑問に思っていたことをたずねると、三人は同時に目を合わせクスリと笑った。
「ちょうどいい。見せてやる」
「うわっ!」
そう言うやいなや、竜王は私の手を引っ張りバルコニーのほうに歩いていく。そしてそのまま外に出ると、助走もせずに私の胸元まである手すりに飛び乗った。すごい運動神経だ。しかも彼はそのまま踵だけでくるりと回転して、私のほうを振り返りニヤリと笑った。突き抜けるように澄んだ青空を背に立つ姿は、やはり王者そのものだった。
「リコ、よく見ていろ」
そう言うと、竜王はそのまま背中から倒れるように落下していった。