竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
本当に美しかった。ファンタジーの世界でしか見たことがない、いわゆるドラゴンと言われる生き物。アニメや漫画では見たことがあったけど、実物は研ぎ澄まされた美しさがそこにあった。
(もう少しだけ、竜の姿を見ていたかったな……)
そんな名残惜しい気持ちで竜王様をのぞき見ると、さっきまで自慢気な顔をしていたのに、今は口元を押さえ顔を赤らめていた。
「竜王様……?」
しかし様子を覗いていた私と目が合うと、すぐにいつもの自信満々な笑顔に戻ってしまった。
「……そうか、そんなに嬉しいなら、リコにはいつでも見せてやるからな!」
「駄目です!」
私の代わりに返事をしたのはシリルさんだ。鋭い目つきで竜王様をにらんでいて、どうやら怒っている。急いで駆け寄ってきて私の肩を揺さぶると、声を荒げた。