竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


(とりあえず仕事は決まったわ! あとは平民として暮らせるよう頑張らなきゃ!)


 私は「よし!」と言って気合を入れると、仕事着に着替えるため衣装部屋に入って行った。


 ◇


「ここが騎士団の食堂……!」


 食堂と言っていたので、こぢんまりとしたイメージだったけど、百人は座れそうなほど広かった。しかもリディアさんから聞いたところによると、今は食堂の主人一人で切り盛りしているらしい。


(こんな広さを一人で? それなら私でも歓迎されるかも!)


 それなのに食堂の主人は、私がここで働くのを戸惑っているようだ。チラチラとリディアさんを見ては「彼女は迷い子様なんだろう? 本当にこんなとこで、働かせて大丈夫?」とつぶやいている。どうやら私が迷い子だということまで聞いていたようで、面倒なヤツがきたと思われているみたいだ。
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