竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「これは俺のだ! おまえ、盗んだのか!」
「えっ! ち、違います……っ! 私は忘れ物だと思って、届けようとしていただけです!」
「嘘言え! おまえみたいな卑しい平民の言うことなど、信じられるか!」
「そんな!」
(無理だ。この人、私の言うことなんて聞いちゃいない!)
きっとこれ以上何を言っても無駄なんだろう。最初から私に敵意むき出しで、むしろ八つ当たりされているみたいだ。どうすることもできないなら、逃げてリディアさんに助けてもらったほうがいい。私は手をブンブンと振り回し、男から必死に逃げようとし始めた。
「手をはなしてください!」
「駄目だ! おまえは盗人だ!」
(こんなのただの嫌がらせじゃない!)