竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
しかしギークと呼ばれたその男は、自分の行動を注意されたことに納得してないらしい。不満顔で同僚の騎士に詰め寄り始めた。
「はあ? じゃあそのお偉い迷い人様は、なんでこんなところで働いてるんだよ? おおかた竜王様に見限られて、罰としてここで下働きすることになったんだろ? そんなヤツをかばってどうする?」
そう責められた人も、私たちの事情を知っているわけじゃない。オロオロと私とギークを見ては、黙ってしまった。ギークはそれを見て得意げな顔で、私の前に立ちはだかる。
「おい、迷い人さんよ。おまえが本物なら、俺達の国に何か良いことしてくれるんだろ? ほら、やってみろよ」
「えっ……そ、それは……」
「できないんだろうが! やっぱりこいつは偽物だ。妹たちのチャンスをつぶしやがって、この女。絶対に許さねえからな」