竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(妹たちのチャンス? いったいなんのこと?)
じりじり追い詰められ、私の背中が壁にドンとぶつかった。その様子にあわててもう一人の騎士が、ギークの体を引っ張り始める。
「ギーク! いい加減にしろ! すぐに練習場に戻らないと、団長が呼んでたぞ!」
「チッ……」
「迷い人様、すみません。じゃあ、俺たちはこれで! ほら、行くぞ!」
(良かった! これで帰ってくれる!)
そそくさとギークを連れ帰ろうとする姿に、ほっと息を吐いた時だった。
「あなたたち! 迷い人様に何をしているのですか!」