竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「リディアさん! 私は大丈夫です! こちらの騎士様が忘れ物を探しに来ただけですから、何もされていません」
すごくわざとらしいタイミングなのはわかってる。それにギークの言葉で何か言われたことも、リディアさんは感づいているだろう。それでもこれ以上、この世界の人とトラブりたくない私は、この会話を遮った。
「……そうですか」
リディアさんは私の言葉に納得している様子はなかったけど、それ以上何も言わなかった。ギークは私の言葉を苦々しい顔で聞き、もうひとりの騎士はあからさまにホッとした顔で胸をなでおろしている。
(別に良い子ぶりたいわけじゃないけど。あのギークって人、絶対に逆恨みするタイプだもん。これ以上、事を荒立てないほうが身のためだよ……)