竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 王族だから代々、子供が継いでいくと考えていたけど、どういうことだろう。頭が混乱してきた。リドルさんは戸惑う私の顔を見て「たしかに、わかりにくいね」と苦笑いしている。


「結婚前に竜王の妃となる女性の体に、子供の魂が入るんだ。卵が宿るという言い方をするんだけどね。そのあとにお二人が初夜を迎えると正式に妊娠する。他の竜人は違うんだけど、竜王様だけは、次の竜王となる子供の魂が母親をお選びになるらしい」


 つまり、子供が親を選ぶってこと? 日本では親を選べないなんて言葉もあるけど、母親を選べるとは……異世界って本当に不思議。それに魂だけが先に母体に入るって、体はどうなるんだろう?


「その母親の体に魂が入ったかは、どうやってわかるんですか? お腹が大きくなるとか?」
「あはは。実際に妊娠はしてないから大きくはならないよ。ただお腹をポコポコ蹴ったり、母親にだけわかる声で『早く産んで』とせがむらしい。その後はお妃選びの水晶玉があるから、それで確認するんだ」
「へええ……なんだか凄いですね」
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