竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 肉体がないから育たないけど、動いたり喋ったりできるんだ。思わず感心する声をあげると、リドルさんは「だから竜王様と会ったって意味がないってことなんだ」と言って両手を上げた。


(たしかに竜王様が決定権を持ってないなら、親しくなっても有利じゃないってこと?)


 するとリディアさんが少し困った顔で話し始めた。


「もともと決める立場にないのだから、ご令嬢たちに会ったところで意味がないという考えもわかります。それでも竜王様の意思次第で、側室も持てますから。お心を射止めようとする人は後を絶ちませんし、竜王様と親しくなれる機会を設けろという要望も多くて……」

「えっ! この国は一夫多妻制なのですか?」


 あまりの驚きに、妙に大きな声になってしまった。質問されたリディアさんも少し顔を赤らめている。

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