竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「いいえ、竜王様だけですね。もともと竜人は独占欲も強く気性も荒いですから複数も妻を娶ったら、その、殺し合いになってしまうというか。それに側室がいたのは、もうずいぶん昔の話なんですよ」
殺し合いになるというちょっと怖い情報が入ってきたけど、うすうす竜人の方々は気が強いなとは思ってたのよね。リドルさんも過去に何かあったのだろうか。「女の闘いは怖いぞ……」と小さく呟いている。
「それでも今回パーティーを開いたのは、少し前に竜王様の妃を確認する水晶に、兆しが出たからなんです。次の竜王様の魂が出てこようとしていると、玉に光が灯ったそうで。それでお妃様が決まってしまうとあせった貴族たちの要望が多くて、竜王様がしぶしぶあのようなパーティーを開くことになったのですが……内心リコに邪魔されて喜んでいらっしゃいますよ」
「た、たしかに笑ってましたね……」
ふふっとリディアさんも笑っている。リドルさんも「竜王様らしいな」と言って苦笑いすると、私に向き合った。