竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
勢いよくカーテンを開けると、そこにあったのは満天の星空だった。竜王様はどこにも見当たらない。この部屋に窓はひとつだけなのに、ここじゃなかったのだろうか?
「あれ……竜王様?」
私がキョロキョロと辺りを見回すと、また竜王様の声が聞こえてきた。
『ここだと言ってるだろ。とにかく窓を開けろ』
「は、はい!」
言われたとおり窓を開けると、勢いよく風が部屋に吹き込んできた。さっきまで風なんて吹いていなかったはずなのに。いきなり入ってきたその突風に、私は思わず目を閉じた。
『なにをやってるんだ? 目を開けろ。俺だ』
やっぱりこの声は竜王様だ。私はパチパチと瞬きをしたあと、ゆっくりと瞼を開けた。
『今日は疲れたか?』
そこにいたのは、両手で抱えられるくらいの大きさの「黒竜」だった。