竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(こんなにかわいいのに。私だったら見せびらかしたい。それに竜王様じゃなかったら抱っこさせてほしいくらいだ)
そんな私の考えは竜王様にだだ漏れなのだろう。「おい、そんな目で俺を見るな」と言うと、最初の大きさに戻ってしまった。残念。
『竜はなにより強いことが大事なんだ。圧倒的な強さで上に立っていないといけないからな。だからこの部屋に入ったら人間の姿に戻ろうと思っていたのだが……』
(えっそんな! さっきの手のひらサイズとまでは言いませんから、竜の姿でいてほしい!)
あからさまにガッカリした顔をしていたのだろう。竜王様はククッと喉を鳴らすように笑うと「このままでいてやろう」と言った。
ありがたい! なんだかこの世界に来てから、初めてウキウキしている気がする。小さい竜王様を見ていると、それだけで顔がゆるんでしまうのが自分でもわかった。