竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 すると竜王様が昨日から読み始めた文献の内容について教えてくれた。それによると、車や飛行機のこと、テレビや育ったところの文化など、私が知っていることばかりだった。


 ちなみにその文献は竜王様にとって夢物語のように面白く、仕事をほったらかして読みふけったそうだ。


『おかげでこの時間までシリルに仕事をさせられてしまった』
「そ、それはお疲れ様です……」
『まあ、自業自得だがな』


 その言葉に思わずフッと笑ってしまった。しまったと思った時にはもう遅い。竜王様は「おまえら迷い人のせいだぞ」と言って、威嚇するように翼を広げた。本当にかわいい。


(あれ? じゃあ竜王様は何を知りたいんだろう?)

< 95 / 394 >

この作品をシェア

pagetop