竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
『どうせ長い付き合いになる。それにリコが元いた世界と、この国では考え方も違うだろう。今までの価値観で行動すると、失敗することもあるはずだ。言いたくないなら、命令してやる。さっき話すと約束しただろう? 話せ』
そう言うと竜王様はフンと鼻を鳴らして、そっぽを向いた。だんだん竜王様の動きで、感情がわかってきた。きっと今は拗ねているんだろうな。クルクルと私のまわりを飛び回りながら『ほら、言うならさっさと言え』と騒いでいる。
「ふふ。わかりました! わかりましたから!」
今の竜王様は小さな竜姿だからか、子供にせがまれているような気持ちになってくる。気づけばまた笑ってしまった。
(そうよね。話したほうが良いかもしれない)
しばらく滞在するこの王宮は、竜人貴族がいる場所だ。きっと考え方の違いで、誤解を招くこともあるだろう。知ってもらったほうが、失敗を未然に防げるかもしれない。
私は竜王様が再びクッションに座ったのを見届けると、「きっとつまらない話ですよ?」と前置きをして話し始めた。