婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
なんと娘のクロエが持ってきたものは、あの戦いを描いた例の絵本だ。おかしい。私が頑張った証として持ってはいたけど、倉庫の奥深くに封印していたはずなのに! なぜここにあるんだろう?
もしや? とエドを振り返ると、エドも目を丸くして驚いている。私と目が合うとブンブンと頭を振って「僕じゃない」と否定していた。ということは、たぶん母達のどちらかが買ったのだろう。そんな私達の動揺など知らずに、クロエとクリスはワクワクした顔でこちらを見ている。
「「ねえ、読んで?」」
クロエはきょとんとした顔でもう1ページめくって、私が絵本を読むのをうながした。その時ガタリと音がしてエドが立ち上がる。
「さあて、僕は父さんの手伝いをしてこなくちゃな」
「エド」
1人だけ逃げようたってそうはいかない。私は立ち上がろうとしていたエドの服をつかみ、にっこりと笑いかける。エドは黙って再び椅子に座った。