婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される

「結果的にだったけど私達がした事は、こういう平和な毎日を守ったんだよね」



 そう言ってエドを見上げると、彼も通りにいる人をじいっと見つめていた。その視線の先には先程タペストリーのお店で買い物をしていた親子がいる。3人は袋からはみ出るほどお土産を買い、手には美味しそうなパンを持っていた。笑顔で歩いていく家族を見ていたエドは、微笑みながら私の肩をそっと抱き寄せる。



「そうだよ。僕達けっこうすごい事したんじゃない?」



 からかう様な言い方に思わず笑ってしまう。でもそのエドの言葉に恥ずかしがっていた気持ちが消えていくのを感じた。



「ふふ。そうね! たしかに凄い事したわ」



 恥ずかしく思うのはもうやめよう。今みんなが苦しみから開放されて平和に暮らしているのは、確かにあの時私達が頑張ったからなんだ。必要以上に恥ずかしがるより、お祭り気分で過去を楽しんだ方が良さそう!
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