婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される



 そう思うとさっきまで他人事のようにお店を見ていたのに何か買いたくなってくる。今日は早く寝るつもりだしもうキッチンを使いたくないな。よし! 今日はお店で夕ご飯を買って帰ろう!



「ねえ! もうすぐ金物屋に着くけど、私今日の夕飯を出店で買ってくるわ。終わったらそっちに行くからエドは金物屋に行ってもらえる?」
「いいね! 明日も早いしそうしよう」



 早速そこから別行動を始め、私は美味しそうな匂いのする串焼きや焼き立てのパンを買っていく。あとは昼のスープが残ってるしと思っていると、目の前に1人の男の人が現れた。



「うわあ。君すごい可愛いね。良かったら出店一緒にまわらない?」



 このあたりではお店をやっている事もあって、私達夫婦を知らない人はいない。どうやら観光客みたいだ。そういえば昔からずっとエドと2人で過ごしてるせいか、初めて男の人に誘われたわ! どう断ればいいんだっけ? と、咄嗟に言葉が出てこなかった。

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