婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
約束の証 06
少しずつ日が傾き空が赤く染まり始めるなか、私はエドと隣り合って小さな箱を見ていた。
「最近恋人や夫婦でお揃いの指輪を着けるのが流行ってるの知ってる?」
「え? そうなの?」
子供ができてからというもの装飾品はまったく身につけていない。ネックレスは子供に引っ張られて首を絞められるし、リボンもすぐにほどかれるから身につける物はすべてがシンプルだった。そうなると必然的に興味も薄れていく。流行るなら恋人時代に流行ってほしかったな。
「パートナーがいるっていう証だから、さっきみたいに男から誘われるのが無くなるよ」
ムスっとした顔で拗ねた言い方をしているけど、さすがに観光客以外の人にはエドがいるから誘われないよ。でも嫉妬してくれるのは正直うれしい。エドは気づいていなかったけど結婚前女の子にすごくモテてたから、私はひそかに嫉妬する事が多かった。記憶があるのは私だけだから、寂しかったのもあるのかな。