婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される



「サラに何かあったら、僕がすぐに駆けつけるよ。さっきみたいにね」



 エドはイタズラっ子の様に笑って、私の指輪にそっとキスをした。私も箱から指輪を取り出し、同じ様にエドの手に指輪をはめる。



「私もエドに何かあったら、絶対に駆けつけるわ」



 私達はお互いの決意を確認しあうように見つめ合う。おでこをくっつけクスクス笑いキスをしようとした瞬間、バタンとドアが開く音がした。


「おかあさーん」
「おとうさーん」
「「見て〜!かっこいいでしょ?」」


 双子が中庭に転がるように飛び出してきて、杖と剣を持ってビシっとポーズを取っている。その後ろから私の両親が出てきて、なにやら2人にポーズの指示をし始めた。


「クロエ! こうしたらもっと可愛いわよ!」
「クリス! 右手をもっとあげるんだ!」


 子供たちがきゃあきゃあ言いながら別のポーズを取ると、エドの両親も笑いながら出てきた。


「クロエちゃん、さっきの変なポーズ、お母さんに見せてあげて!」
「クリス! おまえも片足あげるやつやってごらん!」



 エドの両親まで双子に指示を出して、変なポーズを取る2人を見て大笑いしている。私とエドは突然の家族の登場に呆気にとられていたけど、すぐにお互いの顔を見合わせて笑いだした。子供達も両親もエドも笑っている。もちろん私だって……。それなのに私の胸の奥には、今まで何度も感じた不安が生まれる。

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