婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
少し時間が経ってからスっと顔が離れた気配がして、目を開ける。目の前にはにっこりと微笑むエドがいて、なんだかすごく満足そう。


「幸せだ」
「よ、良かったですね……」


 私はどちらかというと頭が真っ白で何も考えられなかったけど、エドが幸せならそれでいい。


「またしようね」
「え!」


 エドは驚く私に不満を持つわけでもなく、機嫌よく食事を再開している。うう、嫌がっていないのがわかって余裕があるんだわ。でも否定するわけにもいかないし、実際落ち着いてみれば嬉しい。今度は私からして驚かしてやりたい。



 自分からキスして驚かせる状況をもんもんと考えていると、食事を終えたエドが話しかけてきた。



「まだ話しても大丈夫かい?今回君の魂を魔石と切り離したことで起こった問題を説明したいんだ」
「問題ですか?」


 確かにあんな大がかりな魔術をしたのだから、問題が起こっても不思議ではない。不安げな表情で見ているのに気づいたのだろう。エドが微笑みながら説明を始めた。

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