婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
その質問に私を見ていたエドの瞳は一瞬だけ下を見ると、意を決した様に私を見つめ直した。
「僕の魔力で今の姿を繋ぎ止めている状態だから、僕の魔力が尽きれば生まれ変わりが始まるのだと思う」
「魔力が尽きる?」
なんだか言っている事が頭に入ってこない。怖くて考えたくないのかもしれない。
「簡単に言うと、僕が死んだら君の姿も消え、2人とも次の人生が始まるのではないかと考えている。すぐ生まれ変わるかはわからないけど、僕達の魂が繋がっているのなら同じ時代だと思う」
自分はもう30年も昔に死んでいるのに、目の前のエドが死ぬと思うと胸が苦しくなってくる。それに生まれ変わるにしても、本当に会えるのだろうか。会えても記憶は無いだろうし。それに記憶があっても今みたいに親子ほど年が離れていたら?同じ性別だったら?
今日目覚めたばかりの私は、生まれ変わりに期待が持てなかった。そんな複雑な顔をしている私とは反対に、エドはずっと考えていただろう気持ちを伝えてくる。
「それでここからはもっと真剣な話だ」
そう言ってエドはソファーから立ち上がり、私の前に跪いた。