婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
「それにエドの今の気持ちは、私に対しての罪悪感や執着なんじゃない?」
「難しいこと言うね」
「そんなの私はちっとも嬉しくない」
本当はエドが私のことを大切に思っているのがわかっているのに、覚えたての恋愛小説のセリフを持ち出した。だってあんな浅はかな事をする私に関わらない方が、エドはきっと幸せになれる。私が幸せにしてあげたいなんて、そんな事を言える資格すらないし自信もない。
「執着か、そうかもしれないね。それでも僕は君を探さずにはいられないし、必ず見つけるよ」
「エド……」
お互いなんとなくこれ以上話し合っても平行線だと思って、黙り込んでしまう。そんな暗い空気を打ち消すように、エドが明るく話しかける。
「そうだ! 君のお父さんから、手紙を預かっているんだ」
「え! 父から!?」
どうやら父はエドが王位を捨ててまで私の魂と会うための魔術を研究している事を知って、「もし娘と会えたらこの手紙を読んでほしい」と手紙を託していたそうだ。