婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
「そうだ! 君のドレスを汚してパーティーに出られなくなったお詫びをしなくてはいけないね! ぜひお茶に招待させてほしい。マルク! 空いている日を見つけて、招待状を送ってくれ。すまない、まだ名前を聞いていなかったね」
そういえばそうだった。私は改めてカーテシーで挨拶をする。
「名前も名乗らず、申し訳ございません。私、アヴェーヌ伯爵家の娘、ローズと申します」
私が挨拶をするとエドは「それもいい名前だ」とニコニコしている。従者のマルクさんに変に思われるから「それも」とかつけないで欲しい。しかしマルクさんは全く気にせず、次の授業にエドを送り届ける事で頭がいっぱいのようだ。
「殿下、次の先生がお待ちですので行きましょう。ローズ様、とりあえずこのままでは帰れないでしょうから、どうぞ城の方へ」
こんなに汚れたままでは、さすがに帰れない。有り難く城に案内してもらおうとマルクさんの方に歩いていくと、体がふわりと浮いた。