婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される

「はい、幸い昔からマリス王国とは良好ですが、西のキース王国とはあまり国交が無い状態なのです」
「昔からキース王国は、好戦的でしたからな」
「それが金が採れるようになってからというもの、頻繁に交流を求めてくるようになりまして…まあ、情報が欲しいのだと思います」
「それはつまり……」
「金鉱山がある、我が領土目当てでしょう。キース王国は、今かなり困窮しているようですから」



 父はこの国の宰相様の補佐をしている。本人は「簡単な書類仕事をしているだけだ」と言っているが、城で働いているのでいろんな情報は入ってくるのだろう。エドもそれを前提に話しているようだ。



「いろんな情報を集めたところ、その兵器のために魔力を必要としているのがわかりました。魔力をたくさん持っているローゼ嬢を、確保しておこうと思っているのかと思います」



「こんな小さいのに…魔力だけで王妃にしようと思ってるのかしら」


 母は今すぐにでも私が連れ去られるのでは? と考え、手が震え始めた。それを聞き、エドは顔を歪めて話を続ける。


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