婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される

「……それが最近キース王国は、王族が妃を多く迎えられるように法を改正したのです。今までは一夫一妻制でしたが、王位を継ぐものなら何人でも妃を持つことができるようになりました。それも魔力の補充のためだと思われます」

「それでは王妃などではなく、ローズを愛人の1人の様に置いておくだけかもしれないのですね!」
「魔力が目当てだ。表に出さずにどんな扱いを受けるかわからんぞ!」



 女性を人としてではなく、魔力を吸い取れるモノだと見ているの? ジーク王子のあの傲慢な態度を思い出し、ゾッとする。


「今にして思えば、今回の訪問も魔力を多く持った女性を探すためなのでしょう」



 この国の貴族でも隣国の王族になれるならと、娘をキース王国に嫁がせる人はたくさんいそうだ。



 「でもその兵器をなんのために……」そこまで言って母は黙り込む。10歳の私に、これ以上血なまぐさいことを聞かせたくないのだろう。エドも両親も黙ってしまった。それでも私は妃教育まで受けた前世の知識があるので、これから起こることが予想できる。



 キース王国が金を狙って、戦争をしかけてくるのね。どのような兵器かわからないけど、王都全体を狙ったものか、それとも王族だけを狙っているのか。後者だろうな。


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