婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
王族だけキース王国に変えればいいだけだもんね。国民や領土を荒らしても修復にお金がかかったり、税金が少なくなるだけで良いことないし。でもどうやって王族だけを狙おうと思ってるのだろう? 私は自分の身に降りかかる危険より、エドのことを心配していた。
エドを守りたい。
私は真剣にそれだけを考える。
「そういうことなので、先日ローズ嬢のドレスを汚したお詫びのお茶会ができなくなりました。ローズ嬢はなるべく外出しないように」
エドが残念そうに私を見つめる。私だってエドと2人で話せないのはつらい。私は自分の気持ちに正直になって、エドに提案をした。
「あの、フィリップ様さえ良ければ、今日少しだけお時間をいただけませんか? お茶にご招待したいのです」
私の提案を聞いたエドは、ものすごく嬉しそうな顔をしている。たとえ次の予定があったとしても断りそうな勢いだ。
「ぜひ!」
「わあ! 嬉しい! 私2人でお庭のガゼボで、お茶をしたいです!」
「まあ! それは素敵ね。殿下、娘のためにありがとうございます」
両親も喜んで、メイドにお茶の支度を指示している。不安な話が続いて緊張していた私達に、少しだけ笑顔が戻った。するとエドがにっこり微笑んで、ポケットから小さな箱を出す。
「そうだ、忘れるところだった。これを君に」