婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
私に見えるように箱を開けると、そこには水色の石がついた指輪が2つ入っていた。よく見るとその石の中には、転移の魔法陣が書いてある。エドは両親と私に、指輪が魔術具で転移ができることを説明した。
「ここに血をたらしてくれる?」
石に少しだけ血をたらすと、ほんの少し光った。続けてエドも同じ様に、石に血をたらす。
「これで君の場所まで、転移できるようにしたからね。何かあったら、僕がすぐに駆けつける。それでもあまりにも遠くに行かれると、魔力を感知するのが難しくなって時間がかかるけど」
そう言うとエドは跪き、私の指に指輪をはめる。エドは「はい」と言って、自分用の指輪を私に渡してきた。意地悪そうに笑っちゃって。私が慌てると思ってるんだろうけど、私の気持ちはもう決まっている。
「私も殿下になにかあったら、駆けつけます」
そう言って、エドの指に指輪をはめた。エドは驚いた顔をしていたが、はめられた指輪を見て幸せそうにしている。
絶対にエドを守りたい。実際には駆けつけるよりも、私がジーク王子から逃げ続ければいい。それでも同じ気持ちだということを伝えたかった。
ジーク王子と戦うなんてことはしない。そんなことしてもすぐに捕まって、魔力を吸い取られ利用されるだけ。もうバカなことは考えず、私にできる最良のことをして、エドを守るんだ!
それを見ていた母は「まあ!王子様からのプロポーズみたい!」と顔を真っ赤にして喜んでいたが、父はあからさまに嫌な顔をして「ローズは駆けつけんで良し!」とふてくされていた。