婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される

 今の父も家族をすごく愛していて、休日は領地で取れた果物でジャムを作っていた。その頃サラの意識は無かったけど、楽しかった思い出に思わず笑みが溢れる。



「それにしても、本当に同じ時代に生まれ変わったわね」
「少し年がずれてるけど?」



 うぅ……エドの言葉に棘を感じる。エドが少し口を尖らして拗ねているけど、無視して話を続けた。



「お父様やお母様とも会いたかったけど、今回はいないみたいで淋しいな」
「そうか……周りにはそれらしい人はいなかったの?」
「いないわ。まあお父様のことだから、今頃念願の農家か、いろんな国の果物を探し求める旅人か、いずれにせよ楽しく過ごしていると思う」


 お父様のことを思い出すと、ついクスクスと笑ってしまう。それより今日は苺を楽しまなきゃ! エドが「乗せすぎじゃない?」と言っているけど、無視してスコーンに苺のジャムをたっぷり乗せていく。うんうん、お父様の作ったジャムは最高だわ!


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