婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される

「エドはどうなの? 王子として生まれちゃって。勉強、頑張ってる?」
「まあ、二度目だからね。家族とは不仲ではないけど、前と同じで距離はあるよ。王族だからそんなものだと思っていたけど、サラを見ていると家族仲が良くて羨ましいよ」


 そういえば昔も魔術をしながら2人で話していた時、私の家族が羨ましいと言ってたっけ……


「まあそれでもフィリップは、国のため兄が王座に就いた時に支えるためにと、日々頑張っていたみたいだな」


 そう言ってエドは少し遠くを見ている。何かあったのだろうか? と考えていると、エドは真剣な目で私に向き合った。


「僕は今度こそ、あの時やり残した王族としての努めを果たそうと思う」
「え……?」
「前の人生で君と会えた事は嬉しかったし、後悔していない。でも王族としての努めを放棄した事は、悔やんでいたんだ」


 エドは今の人生では第3王子で王位は継がないけれど、前世では王位を継ぐはずだった。私の魂を取り戻すために、たくさんの葛藤や諍いがあったのだろう。

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