婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
「キース王国は王族だけが贅沢をして、国民が苦しんでいる。そのせいで困窮しているというのに、さらに僕達の領土を奪おうとしているんだ。もしこの国がジーク王子に乗っ取られたら、今の平和なままではいられないだろう。僕もそしてフィリップも、しっかりと王族として戦う覚悟を決めたよ」
キース王国が本当にこの国の領土を狙って、王族を抹殺したいと思っているのならエドは戦わないといけない。頭ではわかっていても、心が追いつかない。出会えたばかりなのに……
「まあそれでも、今回のことが片付いたらサラと結婚したいな」
そう言ってエドは、テーブルの下でそっと私の手を握ってきた。ドクンと胸がはねる。
「君が16歳で僕が31歳くらいなら、なんとか……」
「エドがいろいろ言われそうだし、そこまであなたが独身でいられるとは思えない……」
はあ〜と2人でため息をつく。テーブルの下では、エドの指がからまってきた。
「私は正直、王族には向いていないわ」
「僕ももう、疲れたよ」