婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
私はもちろんだけど、エドもどちらかというと政治に関わりたい人ではない。何かを研究したり作ったりすることで、やる気を発揮する。きっとこの指輪も楽しんで作ったんだろうな。
「次生まれるなら、繁盛している商家がいいな。何かを作って、売るのは楽しそうだ。」
「私は次こそはお父様達と一緒に、のんびり過ごしたいな。そうすると有無を言わさず果物農家か八百屋かも?」
はっきりと今生きている時代では、私達の人生が交わらない事を考えたくない。エドも同じなのか楽しそうに、次の人生を語っている。
私達の指は隙間なくからみあい、お互いの熱を感じていた。
「そういえばジーク王子は何の道具も使わずに、君の魔力量が多いと言ったんだよね?」
「うん。いきなり後ろから、話しかけられただけよ」
「……そうすると、ジーク王子こそが、魔術兵器みたいなものなのかもしれない」
「ジーク王子が魔術兵器?」
どういう事だろう? 人なのに兵器になるとは? よくわからず首を傾げていると、エドが詳しく説明し始めた。
「以前君の事で昔の文献をたくさん読んだ時に、他人の魔力量を見る力を持つものは、特別な魔術師だと書いてあったんだ」
「特別って?」
「僕達は昔の文献から、魔法陣を習って作っただろう?」
「うん。型が決まってて、それに呪文を当てはめる感じだったよね」
「でも魔力量が見える者は、魔法陣も独自に作れるらしい」
「そんな事できるの!?」