婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
試し打ち? 何をするんだろう? そう思っていると王子は私を立ち上がらせ、肩に手を置き目を閉じた。私の体から少し魔力が吸い取られた気がする。しばらくすると私達の足元に、魔法陣が浮かんだ。まただ、また勝手に魔法陣が出てきた。
「よし、そこのおまえ、顔をこちらに向けろ」
ジーク王子は1人の騎士を指名し、顔を上げさせる。騎士は命令どおり顔を上げるが、少し戸惑っているようだ。まさか……! そう思った時には私の魔力は吸い取られ、その騎士は王子の放った攻撃でふっ飛ばされていた。
「ふむ、少し威力が弱いか」
「最低……! 信じられない!」
驚いて非難する私にかまう様子もなく、王子はまた別の騎士を攻撃し始める。この人達は王子にとって、護衛じゃないんだ。練習の的として連れてきたんだ。信じられない。残虐非道な王子のやり方に、怒りで体が震える。
「ふん。子供が俺に文句を言うな」
「あなただって子供でしょう?」
正確な年齢は知らないが、同じ年くらいの容姿だ。それなのにジーク王子はきょとんとした顔でこちらを見ている。