婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される


「ハハ! この国とは交流がなかったから、知らなくてもしょうがないか。俺は今年で20歳だ。魔術を使うようになってから、成長が止まったんだ」
「え!?」


 成長が止まる!? そんな魔術師聞いたこともない。もしいるなら問題になってるはず。


「まあでも、この体も気に入ってる。周りを欺くことができるからな。この攻撃の魔術は狙いたい相手の姿を覚えないとダメなのだが、フィリップ達王族の顔はもう覚えた。偶然おまえがいたのは、好都合だったな」



 そういうことか。エドはジーク王子が魔力を持った女性目当てにこの国に来たと予想していたけど、本当の理由はエド達王族の顔を覚えるためだったんだ。どうしよう。このままじゃ本当にエド達が攻撃されてしまう! そう思った時ジーク王子が、片膝をつき座り込んだ。


「うっ!」


 ゴホゴホと苦しそうに咳をし始める。なに? どうしたんだろう。突然の体調変化に驚いていると、ジーク王子は顔を青ざめながら私を見てニヤリと笑った。


「お前の魔力は強力だな。吸いすぎると苦しい」

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