婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
ジーク王子はゆっくりと立ち上がり、私の肩に手を置く。まだ顔色が悪い。私が恐怖で動けないと思っているのか、ニヤリと笑って話しかけてきた。
「これでもう、お終いだな」
「ええ、そうね。もうあなたはお終いよ」
私が睨みつけそう言うと、王子は何を言われたかわからないという表情でこちらを見ている。私は逃げられないよう王子の服を掴み、もう片方の手で王子の胸に手を当て一気に魔力を流した。
吸い取るなら、全部吸い取ればいいわ。大量の魔力に耐性の無いあなたが、私の魔力を一気に吸い取ったらきっと体がもたない。成長が止まるほど魔力が体に影響あるのだから、私の魔力では器である体はボロボロになるだろう。
魔力の巡りはエドが急逝してしまったように、命取りになる。体の中で魔力が暴れてコントロールできないはずだ。あなたは魔力の恐ろしさを知らないのよ。
「くそ! なんだこれは!」
ジーク王子は私の魔力が一気に体に入ったことで、予想通り苦しみ始めた。何が起こったのかわからない様で、混乱した顔で私を見ている。
欲しいのでしょう? それなら私の魔力、全部あげるわよ!